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多様な働き方が注目されるなか、企業にはどんな取り組みがあるだろう。
ここでは、2016山形県「やまがたワーク・ライフ・バランス リーディングカンパニー育成事業」にてコンサルティングモデル事業を行った
有限会社 菅原運送さんにお話を伺いました。

02<企業>
運送業
有限会社 菅原運送

【お話を伺った人】
菅原 真実さん
執行取締役・総務管理部長

 

 

 

 

 

 

社員が働きやすい環境の整備について

菅原運送は食品を主に扱う運送会社です。スーパーなどに安全に食品を届けるため、24時間稼働しています。そのため、勤務の時間帯はバラバラ。また、運送業界は全体に慢性的なドライバー不足でもあるので、健康的に働き続けるには、家族の理解や協力は不可欠。会社としてもせっかく入ってくれた大切な社員に離職されるのは大変な問題なのです。

社員にはそれぞれの家庭や事情があり、大切にしていることも異なります。家族との時間が乖離していって離婚、なんてことにならないよう会社として配慮したいと考えているそうです。

会社として取り組んでいること

菅原運送では社員のワーク・ライフ・バランスを整えるために以下の4つに取り組んでいます。

  1. 男性の育児休業・介護休暇取得実績あり ……育児休業取得は100%
  2. 休憩時間を固定しない ……家族の通院などのために自由に設定してもらっている
  3. フレックスタイム制 ……24時間稼働のため可能な限り本人の希望に沿うよう調整している
  4. 定年後の再雇用制度 ……就業規則では65歳定年・70歳までの再雇用となっているが、本人の希望を聞いて勤め続けることが可能

取り組みのきっかけは、男性の育児休暇に対し、取得した本人を対象に県の助成金が出る制度の利用でした。食品運送を主にしているため、ゴールデンウィークや盆、正月などの長期休暇の取得が難しい環境にありました。また、一部歩合制を取り入れていて、手取り収入が低くなることもあり、休みを積極的にとらない人が多かったといいます。その点、当時の山形県の育児休業助成金は一週間の休暇で5万円が本人支給と魅力的。当初は、うまくいかない事例もあり社内では反対意見も出ましたが「男性の育児休業は必要」との信念を貫いたそうです。また、介護が必要という状況に陥るのは男性も女性も同じ。一人で母親の介護を担うことになった男性社員が介護休暇取得に至った事例もあるとか。

真実さん自身も、子育てと看護、家事の両立の大変さを経験しており、社員の大変さを親身に感じられる立場であったことも、企業としての姿勢に影響しているのかもしれません。社員が働きやすい環境を整えることは「あなたを大切にしているよ」という会社から社員一人一人へのメッセージと捉え現在取り組んでいるそうです。

男性の育児休暇について

育児休業を取得してから復帰した社員は、荷物の取り扱いが丁寧になった、業務上の「気遣い」が向上していると周囲の評価も高い。また、真実さんには子育ての苦労ばかりではなく楽しみも知っている父親になってほしいという思いもありました。お子さんができた男性社員に「赤ちゃんのお世話をお母さんだけが独占しているなんてもったいない」と、会社独自に作成した「育児休業のススメ」(下記参照)を渡しているのだそう。

育児休業のススメ

男性の育児休暇は、全国的にも普及していませんが、大変意義のある事業と考え、通年長期の休暇が取れない状況(一般的なゴールデンウィーク・年末年始休暇がない)をふまえ、以下の理由により育児休業を推進します。

Ⅰ、家庭・家族を大切にし、家庭人の一員となるべく成長する(略)
Ⅱ、乳幼児の育児経験を仕事に生かす(略)
Ⅲ、会社の思いを感じる(略)      

以上の点から、育児休業は、社員の家庭平和・健康維持・心身の安定を生むこととなり、当社業務にとっても、社会的にも社員にとっても、非常に意義がある取り組みと位置付けます。


社長であり夫である菅原司さん(写真右)と

テレワーク・リモートワークについて

ドライバーの仕事はそもそも「テレ(離れた)ワーク」。仕事の連絡も長距離運行の中間点呼もすべて会社のスマホで行い、不明な点はテレビ電話機能も活用します。コロナ禍で浸透する、オンラインツールを使う仕事がリモートワーク、というイメージがありますが、実のところ運送業こそ究極のリモートワークですよと社会労務士の方にいわれて「なるほどな」と思ったそうです。

特にワーク・ライフ・バランスを推進している意識はないのですが、社員の困りごとを解消しようとしていたら自然とこうなっていた、おせっかいな会社なんですと、お話してくださいました。


「こどもミュージアムプロジェクト」運送トラックの後ろにこどもたちの絵がずらりと並んでいます

独身者やひとり親世帯の増加など、家庭の「単位」の在り方は大きく変わってきています。
働くことと家庭生活のバランスも、状況が変わっていくのは当然のことなのかもしれません。
会社として働き手を確保していくため、社員が仕事と家庭を大切にし、この会社で働きたいと思えるためにも、ワーク・ライフ・バランスを取り入れていくことはますます重要になっていくのでしょう。県などの制度を上手に利用しながら、できることをひとつずつ推進することの大切さを教えていただきました。

【企業紹介】

有限会社 菅原運送

http://www.tunagimasu.com/index.html

所在地:〒999-7677 山形県鶴岡市大半田字丁野田3-1

設立年月:昭和59年4月

社員数:56名(男性46名、女性10名)

事業内容:一般貨物自動車運送事業

〈令和2年度山形県多様な働き方情報発信事業〉

    多様な働き方情報発信事業「多様な働き方~働き方、変わる変える~」取材記事についてお聞きします

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    Q3、それはどうしてですか?理由をお聞かせください。

    Q4、今後も取材を続けますので、紹介したい女性や企業がありましたらぜひお答えください。(自薦他薦問いません)

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