酒造りの会社とリモートワーク。一見かけ離れたイメージですが、積極的にリモート社員を採用し、働きやすい環境づくりに取り組んでいる「楯の川酒造株式会社」にお話を伺いました。お話をしてくださった広報の高梨さんも実際に関東圏からのリモート参画でお仕事をされています。取材もリモートで行いました。
09<企業>
酒類等製造販売
楯の川酒造株式会社
【お話を伺った人】
経営企画室 広報課 高梨 杏奈(たかなし あんな)さん
2010年に、販路を県内から首都圏へ拡大したことを機に、リモートワークの導入を行いました。また、2019年の新型コロナ感染症の感染拡大により居酒屋などのお店向けの出荷が減ったため、デジタルを活かした新たな販路の拡大に力を入れ、リモート社員を増やしています。現在社員の2割ほどが関東、関西、石垣島などさまざまな地域でリモートワークを行っています。リモートワークを行っているのは主に営業(国内・海外)、広報、カスタマーサクセス、経営企画の各部門です。年齢層としては30~40代が多いです。
リモートワークでは、主に文字ベースでのコミュニケーションになることから、どうしてもニュアンスが伝わりづらく、情報共有がうまくいかないこともあります。ですから、言葉の使い方や、個々に対して細やかに声かけをするようにしています。メリットは、やはり通勤時間がないことです。体調が優れないときも、在宅であれば、自分の調子に合わせて休む・働くと切り替えることができています。また、居住地を問わずに有能な人材を採用できることも、会社の強みです。
まずは、ICT化です。全国の離れた場所で働く社員同士のやりとりを円滑にするため、オンラインシステムを導入しました。また、これまでFAXで行なっていた発注業務を一部システム化しています。ムダを省き、生産性を上げるためのデジタル化に取り組んでいます。
また、代表取締役である佐藤淳平自身が経験した、酒造りの現場の労働環境(早朝からの勤務や繁忙期に休みが取れない、など)の改善も行いました。機械を導入して数値をデータ化し、人が介入する作業も効率化することで、繁忙期にも週休2日、定時退社を実現しています。特に8月の閑散期は本社で働いている社員の有給休暇取得を推進しており、長期休暇を取ったり、週休3日にするなど、各々で自由な形で積極的に休みを取ってもらっています。 子育てしやすい環境づくりという面では、男性の育児休暇の取得も推進しており、実際に半年の休暇を取った社員もいます。
ほかには、製造現場の若手社員たちがチームを作り、お酒の開発や製造はもちろん、販売先までの企画を代表にプレゼンする若手チャレンジ制度も行っています。自分たちで企画提案し、実際に作りあげたお酒は、今年の蔵まつりのときに販売されました。分業制の業界ですが、自分の担当分野だけではなく、お酒づくり全体の流れを知ってほしいという思いで取り組んでいます。若手社員のモチベーションを高めるだけでなく、周りの社員も一緒になって応援するという良い効果が生まれています。
【企業データ】
楯の川酒造株式会社
https://www.tatenokawa.com/ja/sake/
■事業内容:酒類等製造販売
■所在地:山形県酒田市山楯字清水田27番地
■創 業:1832年 法人設立年月日:1962年11月22日
■従業員数:約70名(男性75%/女性25%ほど) うちリモート職員11名